「今年はどんなことをするんですか…?」

まさか、また活動記録の展示だけ…とは言いませんよね。

無理ですよ。そんなんじゃお客さんの足は止まりません。

「まずは、今年一年の活動記録をまとめる」

ちょっと。フラグですか。

「またですか…。それはやめておきましょうよ」

「最後まで聞けって。それだけじゃないんだよ。今回の活動記録は模造紙に書くんじゃなくて、冊子にしてもらう」

え?

「冊子にして、それを通りすがりのお客さんに配布する。これなら読んでもらえるだろ?」

「あ、成程…」

それなら、話は別ですね。

部室に展示するんじゃなくて、冊子形式にして、お客さんに無料配布する。

それなら読んでもらえそうだ。

と、僕は楽観的だったが。

「それ、ちゃんと読んでもらえるのか?」

「定期的にポストに入ってるピザ屋のチラシみたいに、届いたそばから見てもらえずにゴミ箱に直行するパターンなのでは?」

李優先輩と唱先輩は、非常に辛口なご意見。

…例えが的確過ぎますね…。

「萌音はピザ屋のチラシが入ってたら、美味しそうだな〜って一通り眺めてから捨てるけどなー」

とのこと。

…結局捨てるんですね。いや、別に捨てても良いですけど…。

見てもらえずに捨てられるのはキツいですね。

頑張って書いたんだから、ちゃんと読んでください。

読んでから捨ててください。お願いします。

「そこは工夫だよ。捨てられないように、面白い冊子を作れば良いんだ」

「面白い…?どうやって…?」

「例えば、ほら…。活動記録冊子の中に、後輩君の中二病小説を掲載するとか…」

うわぁぁぁぁ。

「じょ、冗談じゃないですよっ…!」

何で僕の小説が、活動記録冊子に含まれるんですか。

全然違うものじゃないですか。

「そして、冊子の表紙に格好良い絵を描けば良い。後輩君に芸術的な絵を描いてもらって」

「何でさっきから、僕におんぶに抱っこなんですか…!」

「え?だって手伝ってくれるんだろ?」

手伝いますけども。

でも、全部任せてくださいとは言ってませんよ。僕。

「超格好良い表紙絵を頼むぞ。思わず、『おっ!読みたい!』って思うようなのを」

「…何でそんなにプレッシャーかけてくるんですか…?」

「だって、他のメンバーはろくに絵描けないじゃん」

いや、そんなことは…な…。

…。

思い出す。この部活がまだ、芸術を研究していた頃のことを。

まほろ部長は意味不明な絵を、唱先輩はひたすら棒人間を。萌音先輩はへのへのもへじを…。

…そんなことはないって言いたかったですけど、やっぱり僕が一番マシなのかも。

「…いやでも、李優先輩は上手かったですよ」

僕と李優先輩だけが、比較的まともな絵を描くことが出来た。

それなら、李優先輩も是非一緒に…僕との合作、みたいな感じで…。

しかし。

「それは駄目。李優君には、別の仕事を頼まなきゃいけないからな」

と、まほろ部長が言った。