「気分を変えるって…何するんですか?」

「これだよ。くじ引きの結果」

まほろ部長は、黒いビニールに包まれた16個のアクリルキーホルダーを取り出した。

あっ…そうだった。

「そういえば、それを目当てに来たんでしたっけ…」

「そうだよ。忘れないでくれよ」

ハンバーガーを食べに来たんじゃないんですよね。いや、ハンバーガーも目的の一つでしたけど。

「気分を変えて、これを開封してみようぜ。目指せ、5種類コンプ!」

まほろ部長は、早速1つ目のアクリルキーホルダーを開封。

出てきたのは…。

「おっ。ミヤノ君じゃ〜ん」

「えっと…。まほろ部長の推しですか?」

「嫌いじゃないけど、ルトリアほどじゃないかなー」

そうですか…。

「気を取り直して2つ目は…おっ。エルーシア君だ」

「こちらは…まほろ部長の推しなんですか?」

「割と好き。でも、推しってほどではないな」

そうですか…。

「次は3つ目…。おっ、今度はルクシー君だ」

「こちらは…」

「ルトリアの相棒ポジだから好き。だけど本命はやっぱルトリアだな」

そうですか…。

「それじゃ4つ目…。おっ、見てよ。ベーシュちゃんデザインだ!」 

何やら、まほろ部長のテンションが上がった。

「その女の子…まほろ部長の押しの一人ですか?」

「ルトリアの次に好き。『frontier』唯一の女の子だから、人気高いんだぜ」

へぇ…。まぁ、可愛いですもんね。

ちょっと萌音先輩に雰囲気が似てる気がする。

「それにしても、良い調子だな。ここまで4つ開封して、どれも違うデザインなんて」

「確かに」

5種類中、早くも4種類をゲット。

全種類コンプリートに大手をかけましたね。

「あとは、まほろ部長の一番好きなルトリアさんだけですね」

「おうよ!あと12個のうち、ルトリアを一つ引けば自分の勝ち!いやぁ楽な戦いだったな〜!」

…16000円を消費している時点で、そこそこ痛手を負ってると思うんですが。

それ、勝ちにカウントして良いんですか?

しかし。

まほろ部長の幸運が続いたのは、ここまでだった。