で、改めて手元のビッグMKバーガーを見下ろす。

次に、周囲の他のお客さんを見渡す。

…フォークとナイフでお上品に…食べている人は見つからない。

皆さん、豪快にそのまま齧り付いていらっしゃる。

成程…。気取ったテーブルマナーなど必要ない。そのままかぶりつけ、ってことですか。

郷に入っては郷に従え、と言いますし。

…じゃあ、僕も気取らず、豪快にいただきます。

いざ、実食。

「…もぐ」

「どうですか、小羽根さん。小羽根さんは上流階級みたいですし、庶民の食べ物は口に合いますかね?」

大丈夫です、唱先輩。

僕の住んでいる家は上流階級ですけど、僕自身は庶民なので。

「…!凄く美味しいです」

「そうですか。それは良かった」

肉厚なパティと、ソースの相性が最高。

何処となく安っぽく、そして油っぽい味がまた良し。

ジャンクな気分が最高ですね。

これは美味しい。人類を魅了する味ですよ。

「小羽根君、ポテトあるよー。どうぞ」

「あ、ありがとうございます…」

萌音先輩が、Lサイズのポテトを差し出してくれた。

それじゃ、サイドメニューのポテトもいただきます。

噛むと熱い油がじゅわっと口に広がって、程よい塩気が非常に心地良い。

何だろう。多分ただの冷凍ポテトなんだろうけど。

熱々をいただくと、物凄く美味しく感じられる。不思議。

何より、ハンバーガーとの相性が素晴らしい。

萌音先輩が、片手にハンバーガー、片手にポテトを摘んでいる理由が分かった。

これは最高の相性ですよ。

しかも、萌音先輩は。

「このポテト、普通に食べても美味しいけどね。萌音のおすすめは…」

と言って、萌音先輩は何故か、チキンナゲットのソースを開けた。

確か、マスタードソースとバーベキューソースですよね。

「ポテトを、このソースにつけるの」

萌音先輩は、摘んだポテトの先っちょに、ナゲットソースをディップ。

そのまま口にイン。

「美味しー」

両目をキラキラさせる萌音先輩である。

そんな…。なんてツウな食べ方をしていらっしゃる…。

「あー、やるやる。ナゲットにソース両方付け、とかな」

まほろ部長は、チキンナゲットの上半分にマスタードソースを。

下半分にはバーベキューソースを、それぞれたっぷりつけて。

「はぐっ」

豪快に、一口で口に放り込んだ。

「口の中で両方のソースが溶け合って、最高にうめぇ…」

「そ、そうなんですか…」

さすが、行きつけている皆さんは、美味しい食べ方を心得てますね。

僕なんかまだまだですよ…。まぁ、今日初めて来たばかりなので、無理もないですが…。