…とはいえ。

…僕、高いメニューはもとより、『MKハンバーガー』のメニュー全般、知らないんですよね…。

「萌音、ポテト食べたい」

「俺は何でも良いよ。どうせ山ほど注文するんだろうし、まほろが好きなだけ買ってきてくれ。それを皆で分けよう」

「…その方が良さそうですね」

成程。僕もメニューをよく知らないし、その方が良いかも。

萌音先輩はポテトが欲しいそうなので、ポテトは買ってきてあげてくださいね。

「あと、くれぐれも飲み物は炭酸飲料にしないように。お腹に溜まりますからね」

「分かってる分かってる。それじゃ買ってくるわ」

と言って、まほろ部長は注文する為にレジに向かった。

空きっ腹の割に、うっきうきの足取り。

レジには、スマイルいっぱいの男性店員が応対してくれていた。

「いらっしゃいませー。本日はお持ち帰りですか?」

「あ、店内で食べます!」

へぇ。お持ち帰りも出来るんだ…。便利ですね。

「それではご注文をどうぞ」

「よし来た!ビッグMKバーガーと、てりやきMKバーガー、フィッシュMKバーガーとベーコンレタスMKバーガーと…」

…早速、アクセル全開ですね。

「あとチキンMKバーガー。サイドメニューから、MKポテトLサイズと、MKナゲット、あ、ソースはマスタードとバーベキューソース1個ずつで。それとサラダ。ドリンクは野菜ジュースとアイスティーと、コーラ」

まほろ部長。炭酸飲料頼んじゃってますよ。

無意識ですか。無意識なんですか?

「MKアップルパイとMKチョコパイ、シェイクのバニラとストロベリー。MKワッフルコーンアイスチョコとナッツトッピング、からのプチパンケーキにマカロン五個入りセット。これらを全部3つずつお願いします」

「畏まりましたー」

とんでもない注文なのに、一切驚くことなく、笑顔で対応。

…プロですね。プロの貫禄です。

果たして合計金額、これでいくらになるんだろう…?

「合計で、16230円になりまーす」

目玉が飛び出る金額ですよ。

ここ、フレンチレストランか何かでしたっけ?

学生さんも普通に利用してるから、もっとリーズナブルなお店だと思ってました。

…済みません、風評被害ですね。

ここはリーズナブルなお店ですよ。…ただ、僕達が注文し過ぎなだけで。

それなのに。

「やったぜ!16回!」

まほろ部長、渾身のガッツポーズ。

「あいつ、馬鹿なんじゃねぇの…?」

「多分、店員は『馬鹿な客が来たなぁ…』って思ってますよ」

僕達も、その馬鹿な客のお友達なんですよ…。

一緒にされるの嫌だなぁ…。

「萌音のポテト、頼んでもらったー」

萌音先輩だけは、強メンタルで何処吹く風。

「おっと、忘れるところだった。ルトリアが当たりそうな、とびっきりのスマイルを一つ!」

「畏まりましたー」

にこっ。

…まほろ部長に付き合ってくれた、優しい店員さんに心から感謝。