先輩達と共に歩いて、学校から一番近い場所にある件の『MKハンバーガー』に着くと。

さっきまで低かったまほろ部長のテンションが、一気に急上昇。

「たのもーっ!」

まるで道場破りのように、大声出して入店。

ちょ、恥ずかしいからやめてください。

店の外に立っているのぼりには、早速、『ただいま『frontier』コラボ実施中!』と書いてある。

そのせいか、店内はかなりの賑わいだった。

「結構、人多いんですね…」

って、僕このお店、来たことがないので…。普段の様子を知らないんですが。

いつもこんな感じなんですか?

「この時間は、いつも学校帰りの学生で賑わってるのが相場だが…。今日はまた、いつにも増して多いな」

と、普段を知っている李優先輩が教えてくれた。

なんと。それじゃやっぱり、『frontier』効果なんでしょうか。

その証拠に、各々テーブルのから聞こえてくる話し声は…。

「見てー。ルトリアデザイン当たった!」

「良いなー!私、エルーシアだ」

「私、ミヤノ君だった!やったーミヤノ君!」

などなど、『frontier』のメンバーの名前を連呼しながら。

何やらキーホルダー?のようなものを、きゃっきゃと見せ合っていた。

「あれが景品なんですか…?」

「あぁ。『frontier』のコラボ限定デザインのランダムアクリルキーホルダーだ」

と、真剣な表情のまほろ部長。

「ランダム…ってことは、誰のアクキーが当たるか分からないってことか…」

「くじ引きだからな。だから君達を呼んで、少しでも当選確率を上げたかったんだよ」

な、成程…。

それじゃ、くじ引きをしても、必ずしも自分の好きなメンバーのグッズが当たる、とは限らないんですね。

もしかしたら、そんなに好きじゃないメンバーのキーホルダーばかりが、何個も当たってしまうかもしれない…。

そう考えると、何だか焦りますね。

あと何回引けば当たるんだ…!?みたいな。

「ちなみに、まほろ部長は誰を引けば当たりなんですか…?」

「出来れば全員コンプしたい」

「あ、そうですか…」

『frontier』は5人だから、5種類のアクリルキーホルダーを全部当てたら、まほろ部長の大勝利なんですね。

果たして、そう上手く行くか…。

くじ引きは、千円ごとに一回引ける訳だから…。

運良く5種類全部引けたとしても、五千円分は食べなきゃいけないんですよね。

うーん…。なかなか厳しそう…。

絶対被りますよね。2、3人…。

「さすがに、コンプは厳しいんじゃないか?」

「仮にコンプが無理でも、ルトリアだけは絶対欲しい。最推しだから」

ルトリア…って、あのボーカルさんですよね。

じゃ、当たりますようにと祈りつつ。

「よし、注文するか…。皆、出来るだけ高いメニューを頼むぞ!自分が代表して注文するから、どれが良いか教えてくれ」

とのこと。

ですよね。まほろ部長がくじ引きをしたいんだから、まほろ部長が注文しないと…。

僕がくじ引きなんかしたら、絶対ルトリアさんを当てられない自信がある。

僕、くじ運ないので。