翌日。

僕はまほろ部長に言われたように、朝食を抜く…ことはしなかったけど。

いつもよりは軽めにした。

そうしたら、加那芽兄様にめちゃくちゃ心配された。

「どうしたの具合でも悪いの」って。

僕がちょっと食べなかったらこれですよ。

僕は丁寧に説明した。実はかくかくしかじかで…と。

いずれにしても、放課後に遊びに行くなら、今夜もまた帰りが遅くなるかもしれない。

そして僕の帰りが遅くなると、加那芽兄様がまたしても、その…過保護な兄心を拗らせて、大暴走しかねない。

そこで、あらかじめ説明しておくことにした訳だ。

それは大変でしたよ。

いつ何処で誰と何の為に何をするのか、逐一全部説明しなきゃならなかった。

挙げ句、「小羽根、一人で大丈夫?」と心配された。

僕は幼稚園児か何かですか?

結局、加那芽兄様の説得に小一時間くらいかかって、僕は危うく学校に遅刻するところだった。

何とか間に合って良かった。

ちなみに、その日の昼食は、小さめのおにぎり一個と、野菜ジュースだけにした。

朝食も控えめだったので、さすがにお腹が空いたけど。

放課後にたくさん食べる、その準備が出来たと思おう。






そして、ようやく放課後がやって来た。

「あぁー。腹ペコだわー…」

ぐーきゅるる、と悲しく鳴る切ないお腹を抱えて、力なく歩くまほろ部長。

「まほろさん、いつから食べてないんです?」

「…昨日の夜、プリン一個食べてからずっと断食してる…」

それは腹ペコを通り越して、飢餓では?

本当に断食しているとは。

「あと、朝飯代わりにコーラがぶ飲みしてきただけ…」

「…空きっ腹にしこたまハンバーガー詰め込んで、後で調子悪くなっても知らんからな」

ジトッ、とまほろ部長を睨む李優先輩だった。

「大丈夫!『frontier』のせいで調子悪くなっても、本望だから!」

「あっそ」

果たして、胃痛に苦しみながらも同じことが言えますかね。

「かく言う僕も、今日はかなり控えめにしか食事してませんが…」

「そうなんだ。萌音もね、今日はお昼におにぎり5個と、パン1個しか食べてないから、お腹空いてるんだー」

僕だったら満腹を通り越して、お腹が痛くなってるかもしれない量ですね。

「李優先輩は?お昼食べました…?」

「食べたよ。タッパーいっぱいの、生野菜のサラダを」

えっ。サラダだけ?

「夕飯ハンバーガーだけだと、栄養が偏るだろ?だから、昼の間に一日分の野菜を補給しておこうと思ってな」

「な、成程…」

偉いですね…。ちゃんと栄養のバランスを考えて。

さすが李優先輩。堅実。

「俺も、昼はサンドイッチ一つしか食べてないので、かなり物足りないですね」

と、唱先輩。

皆さん、控えめな食事を心掛けたようですね。

まぁ、一人は完全に断食していらっしゃいますが。

各々、準備は万端ということで。