「買い占めたいとは思いませんが、勝手にそんなものをキャンペーンの景品にした『MKハンバーガー』を提訴したいですね…」

加那芽兄様の知り合いの弁護士に依頼しますからね。

「ぐっ、駄目か…。じゃあ、景品が後輩君の好きな作家の小説だったら?」

「くじ引きなんかに頼らずに、ちゃんと書店で買います」

「真面目か!」

普通はそうでしょう。

くじ引きなんて、それじゃあ自分の欲しい本が必ず当たるとは限らないじゃないですか。

それなら、多少割高になっても、自分の欲しい本を確実に書店で買います。

「とにかく、とにかく!このキャンペーンの景品が、各々自分達の推しのグッズだったら、欲しいと思うだろ!?」
 
と、まほろ部長が強引にゴリ押ししてきた。

「それと同じなの!推しを思う気持ちは皆同じ。だから君達に協力して欲しいんだよ!」

…本当にゴリ押しですね。

「…どうします?」

「萌音は別に良いよー」

「めちゃくちゃ言ってきやがるな…。…まぁ、萌音を一人で行かせる訳にはいかないから、萌音が行くなら俺も行くが…」

「はぁ…。まったく仕方ない人ですね」

皆さん、行く流れになってますね。

何だかんだお優しい。

「小羽根さんはどうします?嫌なら断っても良いと思いますよ」

「僕ですか?僕は…」

ちらっ、とまほろ部長の方を向くと。

お願い、とばかりに両目を潤ませ、上目遣い。

…その顔やめてください。

「…分かりました。お付き合いします」

「さすが後輩君!大好き!」

先輩方が皆さん行く覚悟を決めてるのに、僕だけ嫌だとは言えないじゃないですか。

同調圧力ですよ。

「それじゃ皆、明日は腹ペコで来てくれよな!」

「それって逆に良くないんじゃないですか?ある程度は食べていかないと」

空腹の状態で食べ物を詰め込むと、がっついちゃって、すぐお腹いっぱいになってしまう、って聞いたことあります。

だから、バイキングとか食べ放題ビュッフェの前は、少し食べてから行くと良いとか…。

まぁあんまり変わらないと思いますが。

「そうなの?とにかく、皆胃の調子を万全にしてきてくれ!」

「…はい…」

…胃もたれに備えて、胃薬、用意しておこうかな。