李優先輩と一緒に、『劇団スフィア』を観に行った翌日。の、放課後。




「萌音、復活」

萌音先輩が、部活動に帰還。

…元気そうで何よりですが。

「萌音先輩…。胃もたれの方は、もう良いんですか…?」

「ばっちり治ったよ」

えへん、と胸を張る萌音先輩。

「良かったですね…。今後は、食べ過ぎには気をつけましょうね」

「うん、分かってる。だから今朝は控えめに、クロワッサン20個しか食べてないんだー」

全然控えめじゃないんですが。本当に反省してます?

また胃もたれしたらどうするんですか。

「…」

ドヤ顔の萌音先輩を前に、李優先輩は、呆れて天を仰いでいた。

…心中お察しします。

すると。

「総員!総員聞けーい!」

突然、まほろ部長がパンパンと手を叩いた。

…何でちょっと軍隊っぽいんですか。

「これより、心霊研究部の部長たるまほろ部長から有り難い訓示が、」

「まほろさん。今は健康追求部ですよ」

「あ、そうだった」

部長なら、自分の部活の名前くらい覚えててくださいよ。

一瞬、また心霊研究部に逆戻りしたのかとびっくりしたじゃないですか。

「それじゃ、改めまして…健康追求部の部長たるまほろ部長から、有りがた〜い訓示がある!心して聞け!」

「…何だよ。下手くそな芝居してないで、普通に言えよ」
 
身も蓋もないですね、李優先輩…。

…僕もそう思いますけど。

「良いか、君達。明日は朝ご飯も昼ご飯も食べず、腹ペコで部活に来ること。これ部長命令だから」

…物凄く雑なノリで、唐突に断食命令が下された。