たくさん食べる女子って、ダイエットを気にし過ぎてろくに食べない女子よりは、遥かに好感が持てますけど。

何事にも、限度ってものがあると思います。

「結局その後、萌音はミセドのドーナツを全種コンプリートしてたんだが…」

「そうですか…。お店の人もびっくりしたでしょうね…」

「あぁ。完全にバケモノを見る目だった」

そ、そうなんですか。

そんなに食べる割には、萌音先輩はすらっとしてして、凄くスマートな体型なんですけど。

その食べたものは、一体何処に消えてるんですか。

「満足して店を出たのは良いんだが、案の定昨日の夜から…」

…あぁ、成程…。ようやく理解しました。

「…ドーナツの食べ過ぎによる弊害で、胸焼けと胃もたれが襲ってきたんですね?」

「…あぁ」

李優先輩は、嘆くように頷いた。

…そりゃ、それだけ食べたら無理もありませんよ。

「市販の胃薬を飲むように言ったんだが…」

「それでも治らなかったんですね」

「あぁ。胃の具合が悪くて、ベッドから離れられないらしい」

それは重症ですね…。

「それでも今日、『劇団スフィア』のチケットを取ってるから、何とか出てこようとしたらしいが…」

「無理しない方が良いですよ…。それだけ食べた後なら…」

「あぁ…。結局部屋の中でばたんきゅーして、今日は学校を休むことにしたらしい」

そ、そんなことが…。

…萌音先輩。気の毒ですけど、それは自業自得というものです。

食べ放題だからって、自分の許容量を越えて食べるのはやめましょう。

「萌音先輩は…大丈夫なんですか?」

「さっきメールしたら、だいぶ治ってきたから、おかゆを食べたところだそうだ」

それは良かったですね。

そのおかゆは、食べ過ぎないようにしてくださいね。

ようやく食事が出来るほど回復したとはいえ、まだまだ外出するのはやめた方が良いだろう。

下手したら、また体調が悪化してしまいかねない…。

「萌音には大人しくしてるように言って、それで…今夜の『劇団スフィア』のチケットが一枚余った訳だ」

で、冒頭の話に戻るんですね。