無悪家のパーティーが無事に終わり。

ようやくホッとした、週明けの月曜日。

の、放課後のことだった。

「…」

いつもなら、すぐに立ち上がって部活動に行くのだけど。

今日は腰が重い。

何故か。

…先週から、いや、正しくは先々週の金曜日から、毎日のように見せられているアレ。

そう、キモ可愛いペット動画で癒やされようという、謎の企画。

あれが現在進行系で続いている以上、僕は安心して部活動に参加出来ない。

…もうやめてくれないかなぁ、あれ…。

今日は何だろう?今度は何を見せられるんだろう。

モグラとか?ヤモリとか?ウーパールーパーとか?

…ウーパールーパーならセーフ。

思い切って打ち明けようか?「爬虫類や両生類では癒やされません」って。

「ヘビじゃなくて、猫やうさぎを見ましょうよ」って。

でも、美的センスが爬虫類と両生類に傾いている先輩達に、猫やうさぎの可愛さが理解出来るのだろうか…。

頭を抱えて、悩んでいたところに。

「無悪君、廊下で先輩が呼んでるよ」

「えっ?」

突然、クラスメイトにそう声をかけられた。

「多分、部活の先輩だと思うけど…。無悪君を呼んでくれって」

「あ、ありがとう。すぐ行きます」

僕は、慌てて立ち上がった。

せ、先輩?何で?誰が?

僕がなかなか来ないから、呼びに来たのだろうか。

「今日も一緒にヘビ観るぞ!」って。

冗談じゃないですよ。

ともかく、伝言を伝えてくれたクラスメイトの為にも、このまま放置することは出来なかった。

僕は、急いで廊下に向かった。

すると、そこにいたのは。

「えっ、李優先輩…?」

「…悪いな、小羽根。ちょっと来てもらえるか」

…驚いた。

てっきり、僕を呼びに来るとしたらまほろ部長だと思ってたのに…。

「済みません、ちょっと…。立て込んでて。すぐ、部活に行きます…」

「ん?あぁ、いや。そうじゃない。催促に来たんじゃないんだよ」

え?

てっきり、来るのが遅いから呼び出しに来たのかと…。

「悪い、小羽根。これから夜にかけて、空いてるか?」

「…え…?」

李優先輩の言っていることの意図が分からず、僕は首を傾げた。