息が詰まるような気分のまま、週が明け。

月曜日から、また授業が始まったが。

相変わらず、憂鬱な気分は晴れなかった。

授業中は勿論のこと、放課後の時間になっても…。







「…はー…」

無意識に出る溜め息。

本日何回目か、もう分からない。

土曜日、伊玖矢兄様は朝早くから外出していたが。

帰ってきたのは、夕方遅くになってからだったらしい。

おまけに夕食も外で食べてきたそうで、僕や加那芽兄様と一緒に食事をすることはなかった。

僕はともかく、加那芽兄様と夕食を共にするくらいは良いじゃないか。と思うのだが。

昨日の日曜日も、伊玖矢兄様は行き先も告げず、朝から外出。

加那芽兄様が「一緒に夕食でもどうか」と誘ったらしいのだが、伊玖矢兄様はすげなくお断り。

昨夜は屋敷に戻ることもなく、出先でそのままホテルに泊まったらしい。

なんと言うか…徹底的に、意識的に避けられている気がする。

気がする、だけじゃなくて…実際に避けられてるんだろうけど…。

原因を作ってしまったのが自分であるだけに、申し訳なくなってくる。

加那芽兄様は、「小羽根のせいじゃない」と言ってくれるものの。

僕がいなければ、あの二人は今よりもっと仲が良かったかもしれないと思うと、憂鬱な気分になってしまう。

…憂鬱と言えば、もう一つ。

ついに今週末に迫った、無悪家当主の誕生パーティーも…。

「…おーい、後輩君。どうした?」

「…」

思い悩んでいた僕は、まほろ部長が話しかけてきていることさえ気づかなかった。

「…駄目だ。後輩君に無視される。自分、なんか悪いことしたっけ?」

「してるだろ。無理矢理部活に勧誘したり」

「マジかよ。そんな昔のことをまだ怒ってんの?」

「意外と根に持つタイプなのかもしれませんね」

僕がボーッとしてる間に、言いたい放題言われている。

「李優君。パス」

「ったく…。…大丈夫か、小羽根。何かあったのか?」

李優先輩に、肩を揺さぶられて初めて。

僕は、ようやく我に返った。

「あ、はいっ…?」

「まほろに何かされたのか。俺が代わりに殴ってやるから、何をされたのか言ってみろ」

え?まほろ部長?

「ちょ、自分何にも悪いことしてないっての!なぁ後輩君」

と言って、まほろ部長は僕と肩を組んだ。

い、いきなり何なんですか。

「超仲良しだもんな!だろ?」

「え。あ…はい、そうですね」

「おい。『え』って何だよ。そこは躊躇わずに頷けよ」

えーっと…まぁ、その。

…仲良しですね。はい。