それから。

「今日、李優先輩はどうしたんですか…?さっきから姿が見えませんが…」

萌音先輩はいるのに、李優先輩の姿が見えない。

彼は一体何処に?

「あぁ、李優君には特別任務を言い渡してるから、今は離脱中なんだ」

と、まほろ部長。

…特別任務…?って、何?

「任務を終えたら、戻ってくると思うぞ」

「そうなんですか…。部長よりよっぽど頼もしい先輩がいないと、何だか心細いですね…」

「言うねぇ君!」

あ、済みません。本音が…。

「大丈夫だって!今日は何も特別なことしないから。自分も反省したんだって。さっきも言ったろ?」

「反省って…。それで、今日は何をするんですか?」

「まず、健康の大前提、基礎が出来てないと駄目だと思ってな?今日は、部員達の健康チェックを行うことにしたんだ」

部員達の、健康チェック?

…それってアレですか。健康診断的な…?

…まぁ、それなら悪くないかも。

普段から自分の健康状態を確認しておくのは、大事なことですよね。

「そういうのは、無謀な筋トレやプロテインを飲む前にやりましょうよ…」

絶対順序がおかしいですよ。何で三日目にして今更…?

「ネットで健康の為の10箇条、みたいなのを調べてきたから、これにちゃんと当て嵌まってるかどうかを皆でチェックしようぜ」

「はぁ…そうですか…」

それ、当て嵌まってなかったらどうなるんですか。 

まほろ部長は、プリントアウトしてきた健康チェックシートを取り出した。

「はい、じゃあまず第1条、ストレスを溜めないこと」

初っ端から曖昧なのが来ましたね。

「唱君!ストレス溜めずに生きてるか?」

「放課後の部活が毎日奇想天外なのを除けば、ストレスフリーな生活ですね」

「なら良し!」

良しなんですか、それ?

悪くないですか?

「萌音は元気だよー」

萌音先輩はあっけらかん。

あなたはストレス…溜まってなさそうですね。あんまり。

「第2条!飲酒をしない!…は、未成年だからOKで…第3条!喫煙をしない!…も、未成年だからスルー」

飲酒喫煙派は万病の元。控えましょう。

特に喫煙は、百害あって一利なしですよ。

「第4条!8時間以上の睡眠を心掛けましょう」

うっ…ちょっと、耳が痛い、かも。

ついつい、読みたい本があったり…宿題や予習が立て込んでしまったり。

睡眠時間の確保は気をつけているつもりだけど、毎日8時間以上は取れてないかも。

「8時間は寝れてませんね。大体6〜7時間くらいです」

唱先輩も、僕と同じくらいだ。

「まー、これは自分も無理だな。動画とか生放送観てたら、気づいたら朝来てんだもん」

まほろ部長まで。

一緒にしないでください。さすがに僕だって、オールはしませんよ。

一方、萌音先輩は。

「萌音は毎日12時間は寝てるよ」

えっへん。

…萌音先輩。それは寝過ぎなのでは?