…結局あの後、パクチープロテインはちっとも減らなかった。

萌音先輩と唱先輩は、何とか飲めていたけど。

李優先輩は、一口飲むなり顔をしかめていた。

李優先輩も口に合わなかったらしい。

僕とまほろ部長と違って、吐き出さなかっただけ偉いですよ。

そうして、二日続けて酷い目に遭って。

健康追求部は、そろそろ不健康研究部と名を変えた方が良いんじゃないかと思う。




…で、戦々恐々としながら臨む、健康追求部三日目。

「…今日は何をするんですか?」

僕は、恐る恐るまほろ部長に尋ねた。

「今日も全力腹筋!」とか、「プロテインリベンジ」とか言われたら。

僕は、今すぐ急用を思い出す予定です。

しかし、まほろ部長は。

「そんなビビらなくて大丈夫だって。今日もばっちり健康を追求していこうぜ」

と、呑気な台詞。

…全然信用出来ませんね。

自分だって昨日、パクチープロテインを吐き出してたじゃないですか。

あの後僕、あまりの不味さに、夕食が喉を通りませんでしたからね。

お陰で、加那芽兄様に心配されちゃったんですから。

「具合悪いの?」って。

違うんです。パクチープロテインが反乱を起こしてて…とも言えず。

お陰で昨日夕食抜きだから、余計不健康になってる気がする。

今朝は何とか回復しましたけど。

筋肉痛も、一日経ってだいぶマシになりました。

今日こそ健康になりたい。

…ところだったが。

「大丈夫大丈夫、安心してくれよ。自分も昨日酷い目に遭って、反省したんだ」

…とのこと。

…反省…?

「…まほろ部長に似つかわしくない言葉ですけど、本当だと思いますか?」

僕は、隣にいた唱先輩にそっと尋ねた。

すると、唱先輩も胡散臭そうな顔で答える。

「さぁ…本当だと信じたいですけど、日頃の行いがアレなんで、いまいち信用出来ませんね」

まったくですよ。一言一句全て同意します。

「ちょっと、コラ!君達。部長に対して失礼なんじゃないか?」

「いえ…そう言われましても…」

「ったくこいつらと来たら。萌音ちゃんは良い子なのになー。な、萌音ちゃんは自分を信じてくれるよな?」

「うん、良いよー」

「ほーら。萌音ちゃん超良い子」

あ、そうですか…。

茶番はその辺にしてもらって良いですかね。