と、いうことで。

人生初のプロテインは、パクチープロテインでした。

「えぇっと…プロテイン大匙二杯に、水を200ml入れて…よく混ぜる…っと」

…こんな感じで良いんですかね?

如何せん、プロテイン飲料を作るなんて初めてだから、どうしたら良いのか…。

人数分プロテイン飲料を作って、それぞれテーブルの前に置く。

さぁ、誰から飲む?

「…ここは年功序列ということで、先輩方からどうぞ」

「くっ…!随分したたかになってきたな、後輩君…。そこは後輩から飲むんじゃないのかよ」

プロテインを買ってくるように指示したのはまほろ部長なので、まずは部長からどうぞ。

「仕方ねぇ。天方まほろ、部長として、男を魅せるぜ!」

と言って、まほろ部長はプロテイン飲料のコップをガシッ、と掴み。

それを一気に傾け、ごくごくと飲み干した。

おぉ。男気。

お酒の一気飲みは勿論駄目ですけど、プロテインはどうなんだろう…?

…しかし。

「ぶはぁっ!まずっ!!」

「ちょ、きたねぇ馬鹿!」

呑み干した瞬間に、マーライオンのごとく射出。

吐き出したプロテインの飛沫が飛んで、李優先輩に怒られていた。

あーあ…。もったいな…。

「何だコレ!?まっず!人間の飲み物じゃねぇよ!うぉぇ〜」

とか喚きながら、必死に水でうがいしていた。

予想通りのリアクションをありがとうございます。

余計に飲む気が失せました。

これは…予想以上に強敵だぞ…。

自分の吐き出したプロテイン飲料の飛沫を、雑巾で拭いているまほろ部長をよそに。

「どうしましょうか…。こののみも、」

「くぴくぴ」

「ふーん。こんな味なんですね」

!?

ふと横を見ると、萌音先輩と唱先輩が、プロテイン飲料のコップを口につけて飲んでいた。

う、嘘でしょう?いつの間に。

二人共、男気が過ぎる。

「だ…大丈夫なんですか…!?」

まほろ部長みたいにマーライオンするんじゃないかと、思わず身構えたが。

「?大丈夫って、何が?」

「い、いや…飲めるんですか…?」

「うん。へいきー」

萌音先輩は、平気な顔をしてパクチープロテインを飲んでいる。

す、凄い…。飲めるんだ…。

「唱先輩…。それ、味…」

「ん?あぁ、はい…。パクチー味ですね」

やっぱりそうなんですか。

「美味しいんですか…?」

「美味しくはないですが…。まぁ、飲めないほどじゃないですね」

と言いながら、こちらも平気な顔でパクチープロテインを飲んでいらっしゃる。

強がっている様子はない。

ほ、本当に飲めるんだ…。

危険物だと思ってたけど、意外とそうでもない…のかも?