加那芽兄様に学校まで送ってもらって、何とか登校は出来たけど。

一日中筋肉痛が辛くて、挙動が怪しかった。

授業中に消しゴムを落とした時は、絶望するかと思いましたよ。

カクカクの動きで何とか拾い上げたけど、絶対に周りのクラスメイトに怪しまれてる。

「こいつ動きがおかしくね?」って絶対思われたに違いない。

違うんですよ。これはその…筋肉痛なんです。

恥ずかしいし情けないから、誰にも言えませんけどね。

そして、迎えた放課後。






「ぐぉぉ〜…。つれぇ〜…」

「健康追求部とは思えない、あるまじきだらしなさですね」

「だってしょうがねぇだろ…!?全身いてぇんだよ!」

「お前が言い出したことだろ…」

「手と脚が同時に出ちゃうよ〜」

先輩方全員、動きがカックカクになっている。

…良かった。筋肉痛に苦しめられていたのは、僕だけじゃなかったようだ。

「どうも…こんにちは…」

「おぉ、後輩君じゃないか…。君も歩き方が怪しいな」

「そうですね…」

昨日の腕立て伏せとスクワット、そしてランニングのせいですね。

やっぱり初日に無理をするべきじゃなかった。

でも、ここでサボってしまったら、健康を追求したことにはならない。

「今日も運動…するんですよね?」

毎日続けたら身体も慣れるって、加那芽兄様も言っ、

「いいや、今日は運動はしない」

と、断言するまほろ部長。

…は?

「…健康追求部、一日にして廃部ですか?」

しかもその理由は、筋肉痛が辛いから。

怠惰の極みですよ。そういうのはどうかと思います。

三日坊主どころか、一日坊主じゃないですか。

「僕はまほろ部長に、『初志貫徹』という言葉の意味を教えたいですね」

「ちょ、辛辣!違うっての。さすがに自分も、二日目で諦めたりしねぇよ!せめて、やめるなら三日目でやめる」

やっぱり三日坊主なんじゃないですか。

「ちゃんと今日も健康を追求するぞ。任せてくれ」

「本当ですか…?」

訝しげにまほろ部長を睨むと、まほろ部長は自信満々に頷いて、

「勿論だ。なぁ萌音ちゃん」

「ほぇ?」

何故か、萌音先輩に同意を求めた。

「頼んでたアレ、買ってきてくれたよな?」

「あれ…?」

「ほら、昨日メールで頼んだじゃん。萌音ちゃんち、近所にドラッグストアがあるって前に言ってたから」

「あぁ、うん。あれね、あれあれ。買ってきたよー」

…アレ?

って、何ですか?