次の日。の、朝。

「うっ…。うぐっ…」

ベッドから起き上がるなり、僕は思わず奇怪な声を出して悶えた。

…よ、予想はしてたけど…予想以上だった。

何がだ、って?

…筋肉痛ですよ。

慣れない者が、突然筋トレをすると、こうなるのは当たり前である。

結局昨日はあの後、本当にグラウンドを10周、走らされた。

ちなみに、言い出しっぺのまほろ部長は、4周くらいで脱落していた。

何で言い出しっぺが半分も走ってないんですか。

他の部員、僕と李優先輩、萌音先輩、唱先輩の四人は、ちゃんと完走しましたよ。

…まぁ、最後の方は僕、息も絶え絶えでしたけど。

他の三人の部長、李優先輩と萌音先輩と唱先輩は、まだまだ余裕の表情だった。

あの三人は強過ぎる。…萌音先輩は腹筋出来てなかったけども。

日頃の運動不足の結果だろうか。

情けなさのあまり、余計に痛みが増す。

そろそろ、とゆっくりベッドから降りて、床に立つも。

「うぐっ…」

太腿の筋肉の強烈な痛みに、思わず顔をしかめる。

何とか歩き出したけど、動きがカクカクしてて、まるでロボットの挙動。

傍目から見たら、完全に挙動不審ですよ。

これ、健康追求どころか、むしろ不健康になっているのでは…?

飛び上がりそうな痛みを堪えながら、制服に着替えて部屋を出ると。

「…あ」

「おっと、小羽根。おはよう」

扉を出たところで、丁度加那芽兄様に遭遇。

どうやら、僕の部屋を訪ねようとしていたところだったらしい。

ジャストなタイミングですね。

「おはようございます…加那芽兄様…。えっと、僕に何か…?」

「え?いや…今朝は時間があるから、小羽根と一緒に朝食を摂ろうと思ってね」

あ、そういうことでしたか…。

「分かりました…。是非ご一緒させてください」

「それは良かった。この間のお土産の紅茶を準備するよ」

と、笑顔の加那芽兄様。

朝から最高級茶葉の紅茶を淹れて朝食なんて…とてもリッチな気分ですね。

…全身を筋肉痛に苛まれていなければ、の話ですけど。