と、いう訳で。

突然ですが、筋トレが始まりました。

「よーし!後輩君、筋トレしろ」

…しろ、って言われても…。

「…何をすれば良いんですか?」

「そりゃもう、腕立て伏せだろ!さぁ、自分と一緒にやるぞ」

う、腕立て伏せですか…。

正直あれ、あんまり得意じゃないんですが…。

まぁ、でも、一緒にやろうと誘われたら、後輩としては断るに断れないので。

やりますよ。

マットの上に手をついて、スタンバイ。

「正しい姿勢で、綺麗に、ゆっくりな!」

「は、はい…」

「よーし、やるぞー!…いーち!にーぃ!さぁーん!」

掛け声に合わせて、肘を曲げたり、伸ばしたり。

うぅ、これ結構キツい。

「ぜぇ、はぁ、は、はぁーち!…はぁはぁ、きゅ…きゅぅぅ〜」

ちょ、まほろ部長。情けない声出さないでください。

身体の力が抜けるじゃないですか。

「も、もう無理…。だめぽ…」

「情けないですね、まほろさん。潰れるの早いですよ」

まほろ部長は、早くも潰れてしまったらしく。

べたっ、とマットに突っ伏していた。

うぅ。正直僕ももうやめたい。

「後輩君、自分の分も頑張ってくれ。はい、じゅーう、じゅーいち」

ちょ、カウントを進めないでくださいよ。やめるにやめられないじゃないですか。

最初は余裕だと思ってたけど、段々と腕がぷるぷるしてきた。

我ながら、軟弱。

「ほらほら、まだまだぁ。にじゅーいち、にじゅーに…」

「も、もうそろそろ潰れそうです…」

「口動かしてないで、手!ほら、にじゅーさん、にじゅーしー!」

やめてくださいって。

腕をぷるぷると震えさせながら、何とか30回を越えたけれど。

「…あっ、もう、無理っ…」

「あ、こらっ!何潰れてんだ」

べちゃっ、とマットに倒れ伏した。

ばたん、きゅー。

「はぁ、はぁ…。つ、疲れた…」

「やれやれ。たった30回で潰れるとは…。ったく、これだから最近の若者は軟弱だって言われんだよ」

早々に潰れてたまほろ部長に言われたくないですよ。

と、言い返したかったが、疲れ過ぎて無理。

一方、マットの反対側では。

「うーん。うーん…。よいしょーっ…。うーん、上がらないよ〜」

「脚だけじゃなくて、腹の筋肉を使うんだよ。腹に力を入れろ」

「ふーんっ!ふぁいといっぱーつ!」

「…駄目だこりゃ…」

インストラクター李優先輩に呆れられながら、未だに腹筋運動が出来ない萌音先輩。

…何だか、先が思いやられる健康追求部ですね。