こうなったら、今後一切、萌音先輩の前で失態を晒す訳にはいかない。

気をつけよう…と、思っていると。

「戻ったぜー萌音ちゃーん」

「やれやれ、まったく…」

「買い出し、行ってきましたよ」

そこに、天方部長と佐乱先輩、そして買い出しに行っていた弦木先輩が戻ってきた。

お帰りなさい。

「おっ、後輩君も来てたんだな」

「あ、はい…」

えぇと…部長達は、また名称変更届けの用紙を取りに行ってたんですよね。

っていうことは、また部活が…。

「今ねー、萌音ね、小羽根君とお喋りしてたんだよ」

「ほーん?何々?えっちな話?」

ぶはっ。

「そ、そんな訳ないじゃないですか。僕は別に、萌音先輩とは…」

「え、萌音先輩?いつから君、萌音ちゃんのこと下の名前で呼ぶようになったの?」

え?いや、それは。

ついさっきですけど。

「やっぱり怪しい関係…!」

「ち、違いますよ。萌音先輩が下の名前で呼んで良いって言うから…」

「でも、自分とか李優君のことは苗字呼びなのに」

そ、そう言われたら…。

萌音先輩だけ下の名前で呼んで、下手に関係を怪しまれても嫌だし…。

「じゃあ…他の先輩方のことも下の名前で呼びますよ。それなら良いでしょう?」

「おぉ。良いよー」

「俺も別に良いですよ。呼び方なんてどうでも」

「俺達は既に、小羽根のこと名前で呼んでるもんな」

ですよね。

じゃあ、まぁ…何だか恥ずかしいような気もしますけど。

遠慮なく、その…下の名前で呼ばせていただきます。

宜しくお願いします。

「それにしても李優君は、萌音ちゃんが別の男に萌音ちゃん呼びされてて不満じゃねぇの?」

「ん?いや、別に…。俺は、萌音が俺を裏切るような真似をするはずないって信じてるからな」

厚い信頼関係。

「萌音も李優のこと信じてるよ」

だ、そうです。

「何だか、見てて眩しい二人ですね…」

「まったくだ…。このリア充共には、是非とも末永く爆発して欲しいもんだな」

「祝福してるのか呪ってるのか、どっちなんですか」

僕は祝福してますよ。

手書きの記録なんて必要ないくらい、二人でたくさんの思い出を作ってください。