翌日。

今日は何があるのかと、戦々恐々としている僕である。

が、今日の僕は、ちょっとした対策をしてきた。

僕も、いつまでもやられっぱなしではないということだ。

加那芽兄様に頼りっぱなしという訳にもいきませんからね。

今度は、どんなホラー映画や心霊写真を見せられても、怯えずにいられるように。

僕は、たくさん本を読んできた。

加那芽兄様の書庫にあった、ありとあらゆる科学の本を。

そう、幽霊なんて非科学的。全ては人間の錯覚。先入観が生み出した思い込み。

何の変哲もないただの石ころでも、「これは魔力が込められた特別なお守りです」と言われたら。

途端に、何だか特別なもののように見えるでしょう?

そういうことです。心霊写真もそれと同じ。

ホラー映画だってそう。ただ、見る人を怖がらせる為に作られた、空想の産物。

科学の本をたくさん読むことで、そのような空想の産物はつまらない。と思えるよう、自分を鍛えた訳だ。

加那芽兄様が科学関係の本をたくさん所持していて、とても助かった。

ありがとう、加那芽兄様。あなたに助けられました。あなたの本に助けられました。

お陰で、今日は何を見せられても、怯えずにいられそうだ。






…と、思っていたのだが。

「おっ。後輩君、待ってたぜー。いらっしゃい」

「…今日は何を企んでるんですか…?」

部室に入るなり、早速警戒度マックスである。