…うわぁ…。

…こっちも不気味。…って言うか、こっちの方が不気味…。

今度は、小さな子供…女の子がリュクサックを背負って、多分遠足かピクニックに出掛ける時の写真なんですが。

右手、右脚、左脚は正常。

しかし、左手が太い蛇みたいに、ぐにゃぐにゃと長く伸びていた。

こんなこと、小さな女の子に言っちゃいけないだろうけど。

物凄く気持ち悪い。

「腕がうにょうにょだー。うにょうにょ〜」

久留衣先輩。呑気にうにょうにょ言ってる場合じゃないですよ。

「これは不気味だな…」

「この少女の現在が心配ですね。片腕、欠損してなければ良いですが」

欠損まではしてなくても、大怪我してそうで心配ですよ。

ぶるぶる。

「いい加減、もう見るのやめましょうよ…」

見てるだけで、何だか呪われそうな気がしてくる。

「何をぅ。君だって心霊研究部の一員だろう?心霊写真くらいで音を上げるとは…」

「そ、そんなこと言われても…」

「まぁ、心霊写真って結構創作も多いらしいですから。あまり本気に取らなくて良いと思いますよ」

そんな気休めを言われても…。

「お?唱君、さては怖がってんな?」

「何処がですか」

「これを見ても同じことが言えるか?ほらこれ…」

天方部長は、更に心霊写真雑誌のページを捲る。

うわぁぁぁ。見せないでください。
 
これは酷い。写真に写ってる人の顔付近に真っ赤な煙のようなものが覆っている。

何これ。血飛沫?

「ほら、こっちも怖いぞ」

今度は、写真に写る男性の後ろに、憎しみに顔を歪めた白いワンピースの女性が。

ひぇぇぇ。気持ち悪い。

「こんなのとかもどう?」

ベッドで寝ている小さな子供の上に覆い被さるように、身体の透けた女性の霊。

も、もうやめてください。

「段々わざとらしくなってきたな…」

「まほろさん、小羽根さんの反応が面白いものだから、遊んでますね」

佐乱先輩と弦木先輩は、既に白けていたし。

「腕がうにょうにょ〜」

久留衣先輩は、心霊写真そっちのけでうにょうにょ言ってるし。

僕だけが、一人で怯えている。

押入れに加えて、心霊写真までトラウマにされてしまうなんて。

…これ、一体何の罰ゲームなんですか?