「はぁー…」

…制服は、無事に洗濯を終えた。

明日も着られるように、ちゃんと乾燥機にもかけておいた。

柔軟剤を多めに入れることで、柔軟剤のフローラルな匂いで異臭を誤魔化す作戦。

これで何とか、匂いは取れた…と、思おう。

何だか、今日一日でどっと疲れたな…。

平和な入学式のはずが…。自分でも全く思いも寄らない方向に…。

しかも…部活、どうしよう。

僕…美術部に入ろうとか、帰宅部で勉強頑張ろうかとか、色々考えてたんだけどな…。

選択の余地なく、所属する部活を勝手に決められてしまった。

料理研究部なんて冗談じゃない!…と、言いたいところだが。

確かに強引な先輩達だったけど、悪い人ではなさそうだったし…。

既に入部届を提出してしまっているなら、今更「やっぱりやめます」とは…。非常に言いづらい。

…この外堀を埋められてる感じ、凄いなぁ…。

狙ってやってるんじゃないだろうか。と邪推してしまうのも当然というものである。

どうしようかな…と、自室で一人、悶々としていたところ。

突然、スマートフォンに着信音が鳴って、びくっと身体を震わせた。

び、びっくりした…。

慌ててスマートフォンを手に取り、通話ボタンを押した。

「はいっ…。もしもしっ…」

『もしもし。小羽根かい?』

「あっ…加那芽兄様…」

スマートフォンの向こうから聞こえてきたのは、加那芽兄様の声だった。

電話越しでも、大好きな加那芽兄様の声を聞くと、心なしかホッとした。