ーーーーー…可愛い小羽根を置いて、海外出張に行かなきゃいけないなんて。

こんな切ないことがあるだろうか。

出来ることなら、一生屋敷にいて、そして小羽根の傍に居たい。

それでも、真面目な小羽根に送り出されて、涙を呑んで渋々出掛ける始末である。

小さい頃の小羽根は、私が出張に出掛ける度に涙目で、瞳を潤ませていてそれはそれは可愛らしく、そして罪悪感に駆られたものだが。

最近は成長したのか慣れたのか、出張に出掛ける時でも、泣かずに見送ってくれるようになった。

小羽根の成長は嬉しいけど、何だかちょっと寂しいような、切ない気持ちである。

…小羽根も大きくなったなー、って。

とはいえ、私の中ではいつまでも、小さな可愛い弟。

最初に出会った時から、その愛情はちっとも変わらない。

いや、むしろ増しているくらい。

…まさか、私がこれほど自分の弟を可愛がることになるとは。

思ってもみなかったね。