…その後起こったことについて、説明せねばなるまい。

突然目を回して倒れた僕に、クラスメイト騒然。

急いで保健室に担ぎ込まれて、それから病院に連れて行かれた。

その時、僕は意識を失っていたから覚えていないけれど。

それはもう、学校中大騒ぎだったらしい。

僕は意識を失ってるし、まさか悪い病気にでもなったのか、と心配した先生方に、救急車を呼ばれ。

昼休みだったので、クラスメイトどころか、何事かと騒ぎを聞きつけた全校生徒が、固唾を呑んで見守っていたらしい。

多分天方部長達は、顔面蒼白だったと思う。

病院に辿り着いて、そこで一旦意識を取り戻したのだが。

「大丈夫です」と言いたいのに呂律は回らないし、頭はくらくらするし。

ますます、先生方を心配させてしまった。

検査の結果、「過労ですね」とお医者様に言われた時、先生方の間の抜けた顔を見て。

僕は、心から申し訳なくて土下座したくなった。

点滴に繋がれていなかったら、多分その場で土下座してたと思う。

入院の必要もなく、点滴が終わるなり家に帰されることになった。

所詮その程度ですよ。

「ま、まぁ悪い病気じゃなくて良かった」と、付き添いの先生に言われ。

ますます土下座したくなった。

何なら、学校中の生徒に謝りたかった。

あと、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。

あんな大騒ぎをさせたのに…ただの過労なんて…。

先生方に付き添われて、無悪のお屋敷に帰ると。

今度は、出迎えてくれた志寿子さんに大騒ぎされた。

本当に申し訳ない。そして居た堪れない。

何はともあれ自分の部屋に戻って、ベッドに倒れ込み。

謝罪は全部後回しにして、とにかく目を閉じて眠った。

そろそろ、僕の睡魔も限界だった。

そのまま数時間、死んだように眠りについて。

部屋の中に、慌ただしく誰かが駆け込んできた音が聞こえて、目を覚ました。

「小羽根っ…。小羽根、大丈夫かい!?」

「ん…。…加那芽、兄様…?」

うっすらを目を開けると、そこには血相を変えた加那芽兄様の姿があった。

あ、加那芽兄様…。…おはようございます…。

…って、まだ夜ですけど…。