結局、その日は部活が終わって帰宅しても、全然ノルマが終わらなくて。

遅れを取り戻すように、夕食も摂らずに一生懸命取り組み。

ようやく今日のノルマが終わって、一息ついた時には。

「あ…。朝…」

窓の外は、既に明るくなっていた。

…結局一晩、一睡もせずに問題集と戦ってたらしい。

時計を見ると、もう午前7時になろうとしていた。

休んでいる暇なんかない。急いで支度をして学校に行かないと、遅刻してしまう。

…っと、その前に軽くシャワーくらい浴びないと。

急いで自分の部屋を出ると、そこで加那芽兄様と鉢合わせした。

「あっ…」

「…!小羽根…」

目が合うと、加那芽兄様はぎょっとしたようだった。

「え、えぇと…。おはようございます、加那芽兄様…」

「…おはようじゃないよ、小羽根。顔色が悪いよ」

うっ…。

「目の下に隈が…。まさか寝てないのかい?」

ぎくっ…。

「へ…平気です。ちょっと、その…昨日は夜更かししてたから…」

「本当に?…朝まで起きてたんじゃないだろうね?」

更にぎくっ…。

加那芽兄様、何でそんなに目敏いんですか。

それとも僕、そんなに疲れた顔してます?

きっと気の所為。顔を洗ったらもとに戻ります。多分。

「今日は学校を休んだ方が良いんじゃないかい?」

とんでもない。模試の勉強は模試の勉強。学校の勉強は学校の勉強ですよ。

授業を疎かにする訳にはいかない。

「大丈夫です。本当に…ちょっと疲れてるだけですから」

「でも…」

「本当に平気ですから。それじゃあ僕、急いでるので…もう行きますね」

「あ、小羽根…」

これ以上、加那芽兄様に引き留められたくなくて。

悪いと思いながらも、僕は強引に話を終わらせて、その場を辞した。

ぐずぐずしている暇はない。急がないと。

そんなこんなで、結局朝食も摂らずに家を出てしまった。

学校に行く途中で、コンビニエンスストアにでも寄って朝食を買おうと思っていたのだが。

頭がボーッとしていたらしく、気づいたらいつものように学校に辿り着いていた。

まぁ良いか…。何だか身体がふわふわしているようで、あんまり食欲もないし…。