それにしても…全国模試…か。
…羨ましいな…。一年生には模試の申し込み用紙なんて配られなかった。
僕が二年生だったら、力試しに受けてみたのにな…。
そういえば、加那芽兄様が在学中も模試を受けて、全国上位ランカーに名を連ねていたと聞いている。
…僕には到底無理な話だけど。
「…ん?」
その時僕は、新聞紙代わりに使われているその申し込み用紙のとある文字が目に入った。
試験対象者の欄に、二年生だけではなく、一年生も記入されていたのである。
「ちょ、ちょっとその用紙、見せてください」
「お、おぉ?何だ何だ?」
強引に、僕は申し込み用紙を奪い取り、手で木くずを払った。
二年生全員に配られたということだから、てっきり対象者は二〜三年生の上級生のみかと思ったのだが…。
「これ…一年生も対象なんですか?」
「あぁ、そうみたいですね…。もっとも、一年生から受験する生徒はあまりいないので、一年生には配布されなかったようですが」
と、弦木先輩が言った。
そうだったんだ…。一年生も対象…。
「…あの、天方部長。この申し込み用紙、使います?」
「え?使うよ。クマ彫りの木くず受けに…」
「いや、あの、そうじゃなくて。模試受けるんですか?」
「え?やだよ。学校の試験だけでも点数真っ赤で顔真っ青なのに、模試でも真っ赤になったらお先真っ暗じゃん」
上手い感じにトンチの効いた台詞をありがとうございます。
それは結構なんですが、もし天方部長が模試を受けないのであれば…。
「これ、僕がもらっても良いですか?」
「後輩君が?」
「まさか、模試受ける気なんですか?」
「はい…。一年生も対象なんで…」
僕が受けても良いですよね?
天方部長にもらわなくても、多分職員室に行って頼めば、一年生である僕にも申し込み用紙をくれるんだと思うけど…。
天方部長が使わないなら、僕が有り難く使わせてもらえないだろうか。
「小羽根さん、中間試験でも学年4位だったのに…まだ勉強するんですか?」
「は、はい…」
「一年生なのに。感心ですね」
「全くだ。二年生にもなりながら、申し込み用紙をゴミ箱代わりに使おうとしてるアホ共にも見習って欲しいな」
弦木先輩と、佐乱先輩が言った。
…言われてますよ。天方部長も久留衣先輩。
しかし、そんな二人はけろっとして、
「そうか。じゃー、この申し込み用紙を自分だと思って、自分の分まで模試受けてきてくれ」
「萌音のもあげるよ。予備にどーぞ」
「ど、どうも…」
さすがに予備は要りませんけど…。じゃあ、折角だから久留衣先輩の好意は有り難く…受け取っておきます。
「大事に使ってねー」
「あ…ありがとうございます…」
…こうして。
僕は、思わぬ方向から名誉挽回の機会を与えられたのだった。
「…で、結局新聞紙の代わり、どうしよ?」
「…まほろさんの赤点の解答用紙を使っては?」
「よし、じゃあそうするか」
…試験の解答用紙を、そんなことに使わないでください。いかに赤点と言えど。
…羨ましいな…。一年生には模試の申し込み用紙なんて配られなかった。
僕が二年生だったら、力試しに受けてみたのにな…。
そういえば、加那芽兄様が在学中も模試を受けて、全国上位ランカーに名を連ねていたと聞いている。
…僕には到底無理な話だけど。
「…ん?」
その時僕は、新聞紙代わりに使われているその申し込み用紙のとある文字が目に入った。
試験対象者の欄に、二年生だけではなく、一年生も記入されていたのである。
「ちょ、ちょっとその用紙、見せてください」
「お、おぉ?何だ何だ?」
強引に、僕は申し込み用紙を奪い取り、手で木くずを払った。
二年生全員に配られたということだから、てっきり対象者は二〜三年生の上級生のみかと思ったのだが…。
「これ…一年生も対象なんですか?」
「あぁ、そうみたいですね…。もっとも、一年生から受験する生徒はあまりいないので、一年生には配布されなかったようですが」
と、弦木先輩が言った。
そうだったんだ…。一年生も対象…。
「…あの、天方部長。この申し込み用紙、使います?」
「え?使うよ。クマ彫りの木くず受けに…」
「いや、あの、そうじゃなくて。模試受けるんですか?」
「え?やだよ。学校の試験だけでも点数真っ赤で顔真っ青なのに、模試でも真っ赤になったらお先真っ暗じゃん」
上手い感じにトンチの効いた台詞をありがとうございます。
それは結構なんですが、もし天方部長が模試を受けないのであれば…。
「これ、僕がもらっても良いですか?」
「後輩君が?」
「まさか、模試受ける気なんですか?」
「はい…。一年生も対象なんで…」
僕が受けても良いですよね?
天方部長にもらわなくても、多分職員室に行って頼めば、一年生である僕にも申し込み用紙をくれるんだと思うけど…。
天方部長が使わないなら、僕が有り難く使わせてもらえないだろうか。
「小羽根さん、中間試験でも学年4位だったのに…まだ勉強するんですか?」
「は、はい…」
「一年生なのに。感心ですね」
「全くだ。二年生にもなりながら、申し込み用紙をゴミ箱代わりに使おうとしてるアホ共にも見習って欲しいな」
弦木先輩と、佐乱先輩が言った。
…言われてますよ。天方部長も久留衣先輩。
しかし、そんな二人はけろっとして、
「そうか。じゃー、この申し込み用紙を自分だと思って、自分の分まで模試受けてきてくれ」
「萌音のもあげるよ。予備にどーぞ」
「ど、どうも…」
さすがに予備は要りませんけど…。じゃあ、折角だから久留衣先輩の好意は有り難く…受け取っておきます。
「大事に使ってねー」
「あ…ありがとうございます…」
…こうして。
僕は、思わぬ方向から名誉挽回の機会を与えられたのだった。
「…で、結局新聞紙の代わり、どうしよ?」
「…まほろさんの赤点の解答用紙を使っては?」
「よし、じゃあそうするか」
…試験の解答用紙を、そんなことに使わないでください。いかに赤点と言えど。