「竹内さん、その注文書はミナモトコーポレーションの物ではないですよね」
「は、はあ?」

 秀の指摘に竹内の顔が青ざめていく。

「その注文書は、株式会社竹内がミナモトの名前をかたって作った物では?」

 もはや竹内の顔は白かった。秀がお構いなしにとどめを刺す。

「つまり、実際に不正な材料を注文したのは竹内さん、あなたじゃないのかと聞いているのです」

 数秒の沈黙後、竹内が「馬鹿を言うな!」と大声で叫んだ。周りを歩く人たちが、何事かと秀や竹内に目を向ける。

「ボクが注文した? 証拠はあるのか!」
「あると言いました。――見ますか?」

 秀が鞄からタブレットを出す。「こっちにバックアップを取っておいて正解でした」と、秀は葉月にウインクして見せた。状況を飲み込みきれていない葉月は、ハラハラしながら彼の行動を見守っている。

「まずはこれです。先日、竹内さんが俺宛てに送ってきた『ミナモト材料不正の証拠』とされる注文書画像。そのUSBメモリに入っている『証拠』と同じものですよね」

 画面に注文書が表示される。表計算ソフトで作られたようなシンプルな形式で、ミナモトの社名が入っていた。

「そしてこっちが、実際のミナモトコーポレーションの注文書です」