「何を馬鹿な」

 竹内に反論させないほど鋭く、秀は竹内の持つUSBメモリを睨みつけた。

「それ、『ミナモトコーポレーションが材料不正をおこなった証拠』だと言いましたよね」

 秀が念を押す。

「具体的にはどんな証拠ですか?」

 冷たい秀の声が竹内を尋問する。竹内は血管が切れそうなほど顔を真っ赤にして、必死になって答えた。

「ちゅ、ちゅ、注文書だ! ミナモトがヤマト鋼業に樹脂材を注文していた注文書、5年分! ボクは樹脂材の使用を許可していない! 勝手に材料を変えた証拠だ!」

 竹内の返答に秀が小首をかしげる。

「では質問ですが、なぜ竹内さんは他社の注文書を持っているのですか」

 秀の指摘に竹内は口をパクパクさせた。

「どこから入手したのですか。それこそ、不正に手に入れた物では?」
「ち、違う! これはヤマト鋼業に託されたんだ!」

 言い訳する竹内に、秀が「はあ」とため息で返事をした。