父行きつけの定食屋を後にして、葉月と父は工場近くまでやってきた。工場の入口が見えたところで、父は突然足を止める。
「竹内」
父の絞り出すような呟きを聞き、葉月も父の視線の先へと顔を向けた。
竹内。それはミナモトコーポレーションの主要取引先だった会社と同じ名前だ。秀が買収した企業、株式会社竹内。葉月だって忘れていない。
(嫌な名前)
父が見ていたのは工場の入口付近だった。
そこにはぽっちゃりとした40代半ばくらいの男性と、スーツ姿の若い男性が立っている。
「え、上屋敷くん?」
葉月は思わず声をもらした。スーツ姿の男性は、紛れもなく上屋敷秀である。後ろを向いているので顔は見えないが、見慣れたシルエットを葉月が見間違えるわけがない。
父が低い声で言う。
「上屋敷専務の隣にいるのが竹内だ。我々の主要取引先だった、株式会社竹内の元社長。何故あいつがここに」
父はゴミを見るような目で竹内を見つめている。
「竹内」
父の絞り出すような呟きを聞き、葉月も父の視線の先へと顔を向けた。
竹内。それはミナモトコーポレーションの主要取引先だった会社と同じ名前だ。秀が買収した企業、株式会社竹内。葉月だって忘れていない。
(嫌な名前)
父が見ていたのは工場の入口付近だった。
そこにはぽっちゃりとした40代半ばくらいの男性と、スーツ姿の若い男性が立っている。
「え、上屋敷くん?」
葉月は思わず声をもらした。スーツ姿の男性は、紛れもなく上屋敷秀である。後ろを向いているので顔は見えないが、見慣れたシルエットを葉月が見間違えるわけがない。
父が低い声で言う。
「上屋敷専務の隣にいるのが竹内だ。我々の主要取引先だった、株式会社竹内の元社長。何故あいつがここに」
父はゴミを見るような目で竹内を見つめている。