葉月に声を掛けられた秀はチラリと葉月を見て、またタブレットに視線を戻した。

「源さんは先に休んでください。俺はまだやる事が終わっていないので、しばらく起きています」
「でももう1週間以上3時間くらいしか寝てないでしょ。明日だって始発で出張に行くんだから、もう寝た方が良いよ」

 葉月はソファーに座る秀の足下まで行って、目線の高さを合わせるようにしゃがみ込んだ。タブレット越しに秀と目が合う。秀は葉月を見て目を見開いた。

「もしかして源さん、俺のこと心配してるんですか」
「それはまあ、当然でしょ」

 彼の生活を見ていたら、流石に葉月だって心配になる。いっそタブレットを取り上げてやろうかと思った時、秀は自らタブレットをソファーに置いた。

「ありがとうございます。嬉しいです。俺、源さんに心配してもらえるとは思いませんでした。……ふふ、嬉しいな」

 秀が照れたようにはにかむ。彼の言葉に、葉月の胸はチクリと痛んだ。