にこり、と微笑むレオンハルトさまの表情に見惚れてしまう。

 こくこくと何度もうなずくと、彼の手が伸びてそっと私の頭を撫でて手から、頬に移動する。

 近い、近い、近いって……!

 ますます赤くなってしまう私に、レオンハルトさまは小さく口元に弧を描き、頬から手を離して自分の指を私の唇にちょんと当てた。

 その指を自分の唇に当て、

「それじゃあ、ゆっくり休んでください、エリカ」

 と、にっこり微笑んだ。

「は、はい……」

 なに今の、なに今の!?

 私の心をガシッと鷲掴みして離さない彼の言動に、ときめきで鼓動が早鐘を奏でている。

 ――落ち着こう。そう、落ち着くのよ……、エリカ・レームクール!

 逃げるように自室に足を進め、部屋に入って深呼吸を繰り返す。

 ずるずると扉を背にしてしゃがみ込んでしまった。

 心臓が早鐘を打ってうるさい。

 でも、それも悪くないなんて思う自分がいて驚いてしまう。

 レオンハルト出逢ってから、知らない自分に出会えるわ……

 もしかして、これが恋の力なのかしら……?

 ――これはもう、本当に……認めちゃったほうが良いわよね。

 レオンハルトさま。

 どうしましょう。私――あなたに一目惚れをしたみたいです。

 そう認めてしまえば、なぜか心が楽になった気がした。