「フォルクヴァルツには、王都にもないこともたくさんあるだろう。たまにでいいから、そのことを手紙で教えてくれないか?」
「お父さま……」
「エリカが幸せに生きることが、一番の恩返しだと思って暮らしなさい」
「……はい。ありがとうございます」

 私の考えを読んだのか、そう言ってくれたお父さまに目を伏せて頭を下げた。

 ――私、エリカ・レームクールに生まれ変わって良かった。こんなに家族に愛されて、嬉しい。

 だからこそ、私たちがフォルクヴァルツにつくまで油断はできないわね。

 私たちは必ず、ハッピーエンドを掴み取ってみせる。

 そう考えて――顔を上げた。

「――レオンハルトさま、付き合っていただきたいことがあります」
「わたしでよければ」
「ありがとうございます」
「それで、付き合ってほしいこととは?」

 小首をかしげて(たず)ねる彼に、笑顔を浮かべてこう伝えた。

「デイジーさまとのお茶会です」

 目を丸くするレオンハルトさまと、驚いた表情を浮かべる両親。

 デイジーさまに、聞きたいことがある。

 でも、一人で王城に向かうのは勇気がいるの。

 だから――レオンハルトさまに、付き合ってもらいたかった。