どこか驚いたようなレオンハルトさまの表情。

 その表情がとても愛おしい。

 ――誰かを好きになるって、こんなにも幸福な気持ちになれるのね。

「私はあなたと、フォルクヴァルツで生きていきたい。そして、フォルクヴァルツをより良い場所にしたいと考えています。それが、今の私の夢なのですよ、レオンハルトさま」

 照れたように頬を染めてしまう。

 きっと、レオンハルトさまと一緒なら、どんな苦悩でも乗り越えていけると思う。

 彼が私を支えてくれるだろうと、確信めいた自信があった。

 そして、私も彼を支えるつもりだ。――夫婦は、支え合うものだから。

 ……ちょっと気が早い気もする。でも……彼となら、きっと、良い関係を築けると思えるの。

 私の気持ちを尊重してくれる彼となら。

 貴族として、結婚は避けられないわ。それならば……私は、レオンハルトさまと結婚したい。

「……でしたら、いろいろ急ぎましょうか。アデーレ・ボルク男爵令嬢が言っていたことも気になりますし」
「そうですね……」

 ゲーム通りには進行していないから、大丈夫だとは思うけれど……

 きっとこれから、ますます慌ただしくなるだろう。

 アデーレも、塔で頭を冷やしてくれていたらいいのだけど……

 塔にいるあいだはたぶん、大丈夫だろうから、彼女が出てくる前にフォルクヴァルツに向かいたいところね。

 私はヒロインじゃないから、不思議な力なんて持っていないし……