カッと目を見開いて、ゲームのエンディングを書いたページまで(めく)り、その文字に目を通す。

「――これね」

 ゲームのエンディング。

 それは――……ダニエル殿下とアデーレの婚約を発表し、彼らの行く末を祝福するパレードが行われた。

 元々は、私とダニエル殿下のためのパレードだったが、婚約破棄されてしまい、アデーレが彼の隣に立つことになる。

 そして、ゲームのエリカは失意の中、そのパレードを目にして、アデーレをいじめていた報いを受ける――……突然、白い光に包まれて『エリカ』の精神が崩壊してしまうのだ。

「……絶対、それだけはいや……!」

 ぶるり、と身体が震えた。自分を抱きしめるように腕を掴む。

 ゲームと同じ進行ではない今――私たちはいったい、どんな結末を迎えるのだろう?

 私がしてきたことは、間違いではないと思う。

 レームクール家の人たちを破滅に導きたくないし、私だって意味もなき断罪を受ける理由はない。

 それに、レオンハルトさまに出逢えた。

 ――絶対に、私は私を守ってみせる。

 家族のために、レオンハルトさまのために、そして――自分自身のために。

 ぐっと拳を握って固く決意を胸にすると、控えめなノックの音が聞こえた。もう食事の時間になったのかしら?