「……ダニエル。エリカ・レームクール伯爵令嬢といっていることが違うようだが? それに、その娘はなんだ?」
「ち、父上。俺は真実の愛に目覚めたんです!」
「……年に一回は必ず浮気をする、お前が?」
オイゲン陛下は疑うようにじろりとダニエル殿下を睨む。口をぱくぱくさせる殿下を見て、もしかして、と思った。
もしかして……まさか陛下が、殿下の浮気のことを本気で知らないとでも……?
「気付いて……!?」
「我が息子ながら、本当に情けない……」
オイゲン陛下が額に手を当てて、左右に首を振り、ため息を吐いた。
それを見たアデーレが声を上げる。
「だ、ダニエル殿下は情けなくなんかありません! そう、彼は真実の愛に目覚めていなかったのです! エリカさまとは合わなかっただけですわ!」
真実の愛が略奪という意味なら、いろんな意味で四面楚歌になりそうな気がするわ。
真実ってなんだっけ?
「どうしてそう思う?」
「だ、だって、本当に愛しているのなら、愛する努力をして、愛される努力もするでしょう!? エリカさまはそんなことをしなかった! だから婚約破棄されるのが彼女の運命だったということです!」
「王族の婚約が、愛だけで決まるわけがなかろう」
呆れたようにバッサリと、切り捨てられた。
アデーレは自分の主張が通らないことにショックを受けていたみたいだ。
自分が正義だと信じて疑わないその姿勢、ある意味すごいと思うわ。
元々、この婚約はオイゲン陛下からレームクールに持ちかけた婚約であることも、ダニエル殿下が私と婚約したいと言い出したことも、彼の中ではさっぱりと忘れられているのだろう。
オイゲン陛下とお父さまが、いろいろ話し合って決めた婚約らしい。
「ち、父上。俺は真実の愛に目覚めたんです!」
「……年に一回は必ず浮気をする、お前が?」
オイゲン陛下は疑うようにじろりとダニエル殿下を睨む。口をぱくぱくさせる殿下を見て、もしかして、と思った。
もしかして……まさか陛下が、殿下の浮気のことを本気で知らないとでも……?
「気付いて……!?」
「我が息子ながら、本当に情けない……」
オイゲン陛下が額に手を当てて、左右に首を振り、ため息を吐いた。
それを見たアデーレが声を上げる。
「だ、ダニエル殿下は情けなくなんかありません! そう、彼は真実の愛に目覚めていなかったのです! エリカさまとは合わなかっただけですわ!」
真実の愛が略奪という意味なら、いろんな意味で四面楚歌になりそうな気がするわ。
真実ってなんだっけ?
「どうしてそう思う?」
「だ、だって、本当に愛しているのなら、愛する努力をして、愛される努力もするでしょう!? エリカさまはそんなことをしなかった! だから婚約破棄されるのが彼女の運命だったということです!」
「王族の婚約が、愛だけで決まるわけがなかろう」
呆れたようにバッサリと、切り捨てられた。
アデーレは自分の主張が通らないことにショックを受けていたみたいだ。
自分が正義だと信じて疑わないその姿勢、ある意味すごいと思うわ。
元々、この婚約はオイゲン陛下からレームクールに持ちかけた婚約であることも、ダニエル殿下が私と婚約したいと言い出したことも、彼の中ではさっぱりと忘れられているのだろう。
オイゲン陛下とお父さまが、いろいろ話し合って決めた婚約らしい。