アデーレが弱々しく尋ねてきた。
どうやら、予想とは違う反応だったらしい。
「婚約を白紙にするのでしたら、これまでずっと言いたかったことをお伝えしてもよろしいですわよね?」
そっと顔を上げてダニエル殿下を見る。彼はなにを言う気だ? という表情を浮かべていた。
「私という婚約者がいながら、別の女性と何度も逢瀬を重ねる男性なんて、求めておりませんのよ、私。しっかりダニエル殿下の手綱を握ってくださいね、ボルク男爵令嬢!」
ちなみに証拠は山のようにある。
だって、わざわざ見せつけにくるんだもの。最初は何事かと思っていたわ。
でもね、考えれば考えるほど理解不能なのよ。
浮気しているところをわざわざ見せつけに来る? と。
そのうちに、ああ、殿下は私のことを疎ましく思っているのね、と気付いてせっせと証拠を集めることに集中したわ。
それにしても、この山のような証拠を使う日が、とうとう来るとは!
婚約破棄イベントよ、ありがとう!
感無量とはこのことよね。
うふふ、慰謝料はたっぷりいただきますよ、ダニエル殿下!
――どうして私が、アデーレ・ボルク男爵令嬢のことをヒロインと呼んだのか……そして、こんなにもしっかりと殿下の不貞の証拠を握れたのか。
お気付きの方もいらっしゃるだろう。
そう、私は転生者である!
どうやら、予想とは違う反応だったらしい。
「婚約を白紙にするのでしたら、これまでずっと言いたかったことをお伝えしてもよろしいですわよね?」
そっと顔を上げてダニエル殿下を見る。彼はなにを言う気だ? という表情を浮かべていた。
「私という婚約者がいながら、別の女性と何度も逢瀬を重ねる男性なんて、求めておりませんのよ、私。しっかりダニエル殿下の手綱を握ってくださいね、ボルク男爵令嬢!」
ちなみに証拠は山のようにある。
だって、わざわざ見せつけにくるんだもの。最初は何事かと思っていたわ。
でもね、考えれば考えるほど理解不能なのよ。
浮気しているところをわざわざ見せつけに来る? と。
そのうちに、ああ、殿下は私のことを疎ましく思っているのね、と気付いてせっせと証拠を集めることに集中したわ。
それにしても、この山のような証拠を使う日が、とうとう来るとは!
婚約破棄イベントよ、ありがとう!
感無量とはこのことよね。
うふふ、慰謝料はたっぷりいただきますよ、ダニエル殿下!
――どうして私が、アデーレ・ボルク男爵令嬢のことをヒロインと呼んだのか……そして、こんなにもしっかりと殿下の不貞の証拠を握れたのか。
お気付きの方もいらっしゃるだろう。
そう、私は転生者である!