くすくすと笑いながら、レオンハルトさまを見上げる。

 彼はキョトンとした表情を浮かべて、それから「ふはっ」と噴き出した。

 肩を震わせて笑っているので、なにか変なことを言ってしまったのかしら? と小首をかしげる。

「いや、素敵な考えだな、と思いまして。……そうですね、オレたちの幸せと、領民たちの幸せのために、がんばりましょうね」
「はい。レオンハルトさまとなら、どんなことでも乗り越えられる気がしますわ」

 ダニエル殿下の婚約者になったあとに学んだことを、好きな人のために使うことになるとは思わなかったけれど、学んだことは活かしておかないとね!

 だってこれからも、レオンハルトさまと一緒にいたいもの。

 彼と支え合って、生きていきたい。そう心から思える人に出逢えたこと、とても幸福だと思う。

 これから始まる私たちの物語は、絶対にこれ以上の幸せが待っていると信じているの。

 愛する人と一緒に、フォルクヴァルツを支えていくわ!

 そう心に決めて、もう一度、レオンハルトさまと唇を重ねた。


―Fin―