「エリカは優しいですね」
「わ、私が?」

 目をパチパチと(またた)かせ、思わずレオンハルトさまを凝視してしまった。ふふ、と笑うレオンハルトさまに首をかしげると、抱きしめていた手を緩め、私の頭に手を置く。

「ええ。とても優しいので、甘えたくなってしまいます。オレのほうが年上なのにね」

 なんて悪戯っぽく笑うレオンハルトさまに、きゅん! とした。

 可愛くて、格好よくて、これ以上好きにさせてどうするつもり!? と胸のときめきが止まらない。

 鼓動が早鐘を打つのを感じながら、レオンハルトさまをずっと見つめていた。

 愛しそうに私を見るレオンハルトさまに、負けないくらいの愛を伝えるため、今度は私から抱きつく。

「嬉しいですわ、レオンハルトさまに甘えていただけるなんて。……私も、あなたに甘えてよろしいでしょうか?」
「もちろんですよ、なんでも頼ってください」
「ふふ、頼もしいですわね」

 そう遠くない未来に、私たちは肩を並べているだろう。

 そのときには、どんな気持ちになっているのかな?

「……フォルクヴァルツで、どんなふうに暮らしたいという希望はありますか?」

 レオンハルトさまが急にそんなことを聞いてきたので、身体を離して「そうですね……」と考える。

 私たちが幸せで、フォルクヴァルツの領民たちが幸せに暮らすためにできることって、なにかな。

「――みんなが幸せに暮らせるような、領地にしたいですね」
「……自分が、ではなくて?」
「あら、レオンハルトさまの(そば)にいられることが、私の幸せですわ。ですから、みなさんにもお裾分けをしないと」