だからこそ、胸の中に溢れる想いをレオンハルトさまに伝えておこう。

 隣に座っている彼の服をクイッと引っ張ると、「どうしました?」と首をかしげる。

 私はそっと顔を近付けて、彼の唇に自分の唇を押し当てた。

 私からの、最初のキス。

 レオンハルトさまは驚いたように身体を硬直させたけど、すぐに抱きしめてくれた。

 想い合って、触れ合って、好きという気持ちがどんどんと積み重なっていく。

「――愛しています、レオンハルトさま」
「あなたを愛しています、エリカ」

 私、本当に幸せ者だわ。レオンハルトさまにも同じくらい……いいえ、それ以上の幸せを感じてほしい。

 そう思いながら、もう一度唇を重ねた。

 触れた唇から体温が溶け合うような感覚に、ぎゅっと彼の服を握る。

 すると、レオンハルトさまが角度を変えて何度もキスをした。

 息苦しさを感じて、掴んでいた服を離して、彼の背中を叩く。

 ハッと我に返ったレオンハルトさまに、「すみません」と謝罪された。

「レオンハルトさま、どうか謝らないでください」

 レオンハルトさまの頬を包み込むように手を添えると、彼は驚いたように目を瞠った。そして、口を開こうとして、閉じる。

 また『すみません』という言葉が、出かかったのだろう。

「……ありがとうございます」

 少し悩んでから、レオンハルトさまが言葉を選ぶようにゆっくりと、そう口にした。