好きな人を前にすると、みんなこんなふうになるのかなぁ? なんて考えていると、もう一度唇が重なった。

 驚いて目を開けると、レオンハルトさまの目が細くなった。

 み、見られていた……!?

 キスを待っている顔を!?

 唇が離れると、レオンハルトさまが私の手を取り、手の甲にも唇を落とした。

「れ、レオンハルト、さま……?」
「――これからたくさん、キスをしましょうね」
「えっ?」

 ど、どうしてそうなるの?

 いや、もちろんいやじゃない。いやじゃないけれど……私の心臓、持つ!? と半ばパニックになりながらも、嬉しさのほうが勝っているから、首を縦に動かした。

「たくさんキスをして、慣れましょう。……慣れるくらいすれば、きっと結婚式当日も大丈夫なはず」
「……そ、うですね……?」

 うん? その言い方だと、レオンハルトさまのほうが慣れたいってことなのかしら……?

 彼をじぃっと見つめると、耳まで真っ赤になっていることに気付いた。