それからどのくらいの時間が流れたのか、エリカ、と呼ばれて目を開けると、ドアップのレオンハルトさまが!

「ッ!」

 驚いて息を()むと、レオンハルトさまが「あ、すみません」と離れた。

 どうやら夕方になったようで、辺りが茜色に染まっている。

「――ここは?」
「ここに寄りたかったのです」

 レオンハルトさまが微笑み、馬車の扉を開けた。

 そして、先に降りると私へ手を差し出す。

 毛布をきれいにたたんでから、彼の手を取って馬車を降り、思わず「まぁ……!」と声を上げた。

 茜色に染まった風景の中に、教会があった。

 教会の周りには誰もいないけれど、レオンハルトさまはそこに向かって歩き出す。

 手を繋いだままだから、私も歩く。

 教会の扉を開けて中に入ると、ステンドグラスが(まばゆ)く輝いていた。

 思わず息をするのも忘れるくらい、美しいステンドグラスで、こんな場所があったんだ、とじっと見つめてしまう。

「こちらへ」

 と、レオンハルトさまが足を進める。

 レオンハルトさまと一緒に、赤い絨毯のうえを歩いていく。なんだか、結婚式みたい! と内心ドキドキしながらちらりと彼を見ると、私の視線に気付いたのかこちらを見た。

 しかも、すっごく優しい笑みを浮かべて!

 それだけで鼓動はさらに早鐘を奏でる。

 講壇の前までいき、足を止めると手を離して私に身体を向ける。私も同じようにレオンハルトさまに身体を向けると、彼が口を開いた。