食事を食べ終わり、荷物を馬車へ。そして、そろそろ行きましょうか、という話になり、小さくうなずく。

 屋敷の使用人たちも集まった。見送りにきてくれたみたい。

「――エリカ、行ってらっしゃい。そして、レオンハルトくんと仲良くね」

 お父さまの言葉にこくりとうなずいた。

 お母さまが近付いて、私のことをぎゅっと抱きしめる。

 僅かに身体が震えているのを感じて、ぎゅうっとお母さまを抱きしめた。

「――二人とも、幸せになってね」
「――はい、お母さま。では、行ってまいります!」

 抱きしめられていた腕が離れて、最後に私はみんなに感謝の気持ちを伝えるようにカーテシーをする。

 レオンハルトさまも胸元に手を置き、一礼するのが見えた。

 頭を下げて、馬車に乗り込む。

 椅子に座り、馬車の窓から手を振ると、みんな振り返してくれた。

「――行きましょうか、エリカ」
「はい、レオンハルトさま」

 レオンハルトさまが御者に合図を送ると、馬車が動き出す。

 どんどん遠ざかり、小さくなっていくお父さまたちを、私はずっと、見つめていた。