それにしても、この世界って本当にゲームの世界なのかしら?

 もしもゲームの世界なら、『強制力』でアデーレがあの不思議な力を目覚めさせるかもしれない。

 その前に、王都から離れたいのよね。

 ……まぁ、今となっては、ここがゲームの世界であろうがなかろうが、どちらでも良いのだけど。

 だって、私がこの世界で生きていることは、変わりないし。

 それに――ちらりとレオンハルトさまを見る。

 彼は私の視線に気付いて、「どうしました?」と首をかしげた。

「フォルクヴァルツがどんなところなのか、楽しみですわ」
「きっと驚くと思いますよ」

 はは、と笑うレオンハルトさま。

 きっと、本で読むだけではわからないことが、たくさんあると思う。

「では、今日は早めに休まないといけませんね」

 名残惜しいけれど、これからはレオンハルトさまと一緒にいられるのだし……と考えて、彼との会話を終えた。

 そのタイミングで、お父さまに声をかけられる。もしかしたら、私たちの話が終わるタイミングを待っていたのかもしれない。

「エリカ、ちょっといいかい?」
「はい、お父さま」

 お父さまは「ついてきなさい」といって歩き出す。

 お父さまが向かっているのは……倉庫?

 倉庫に入り、灯りをつけると迷うことなく目的のものを手にして、私に差し出した。