着替えついでに化粧も落としたし、本当にもう寝るだけなのだ。食事はたぶん、食べられないと思う。

 お腹も空いていないし、もうさっさと寝ちゃおう。

 きっと明日になれば、今日のことが新聞に載るでしょうね。私のことはどう書かれるのかしら?

 お父さまとお母さまは私を気遣ってくれるだろう。優しい両親だ。

 きちんと『エリカ』として生きていた記憶もあるから……不思議な気分なのよね。

 転生者である私は、今日の卒業パーティーのことを夢見ていた。このイベントさえ終われば、自由になれるって。

 浮気癖のある婚約者は、これから先どうやって過ごすのかしら。アデーレも、どうしてダニエル殿下に惚れたのだろう?

 彼女と仲が良かった男性はみんな、顔が良かったり家柄が良かったり……まぁ、『攻略対象』なのだけど。


 乙女ゲームだからね、イケメンが多いのよね。わかる。

 あんなに格好いい人たちに愛されたいって思うもの。

 ……愛されなかったけど!

 それは私がお邪魔キャラだったから、仕方ないのかもしれないけれど……とにかく、乙女ゲームのシナリオはあれで終了。

 ここから先は、未知の世界。

 ――自由に婚約者を選んでいいのよね!

 それを目標にここまでやってきたのよ。

 素敵な恋愛ができますようにと祈りながら、目を閉じる。気付いたら眠りに落ちていた。