ああ、この人……本当に真面目な方なんだわ。

 顔を真っ赤にさせる彼を見て、愛しさが溢れてくる。

「レオンハルトさま」

 自分が思うよりも甘い声が出た。

 そのことに内心びっくりしながらも、私はそっと、自分の頬にレオンハルトさまの手を触れさせた。

 弾かれたようにこちらを見るレオンハルトさまに、微笑みかける。

「――私が嫌がっているように、見えますか……?」

 じっと彼の目を見つめる。見つめ合うこと数秒。

 その数秒が、とても長く感じられた。

 レオンハルトさまは、ふっと表情を和らげて、もう一度顔を近付けさせる。

 近付いてくる彼の顔に、そっと目を閉じた。

 唇に柔らかい感触がして、うっすらと目を開ける。

 バチっと彼の視線と交差した。

 繋いでいた手を解き、代わりに私の後頭部に手を回し、私も彼の首に手を回す。

 ちゅ、ちゅっと軽いリップ音を立てながら、何度も唇を重ねた。

 触れる唇の感触に、頭の中が痺れたようにぼぅっとしてしまう。

 ――ああ、なんて――……なんて、甘美な口付け。

 うっとりとその甘美な口付けを続けていると、段々と息が上がっていく。

 酸素を求めるよう開いた口に気付いて、レオンハルトさまがもう一度唇を重ねてから、ゆっくりと顔を離した。

「……大丈夫ですか?」
「は、はい……なんとかテ」

 彼の首から手を離し、自分の唇を指でなぞる。

 キスだけで、こんな気持ちになるものなの――?

「すみません、その、止まらなくて……」