「ダニエル殿下からの誕生日プレゼントは、どうしますか?」

 メイドの一人が尋ねてきた。あまり使うことのなかったアクセサリーたちに視線を移す。

「持っていかないわ。アクセサリーは、あちらでも買えるでしょうし」
「辺境から流行するとも言いますものね。どんなものが流行っているのか、教えてくださいませ」
「もちろんよ」

 レームクール邸のメイドたちとは、結構仲が良いと思う。

 幼い頃から一緒に過ごしているからかな?

 前世の記憶を取り戻してからは、さらに気を遣うようになった。

 だって、前世の私は平凡な人生を歩んでいたから。

 働いている人たちに感謝するのは、当たり前だと思っていたのよ。

 当初、私の接し方が変わったことに目を丸くされたけれど、すぐに受け入れてくれた。しかも、なぜか涙ぐんでいた。

 そんなわけで、私たちは結構良い関係を築けたと思う。

 フォルクヴァルツでも、そうなれたらいいのだけど……

 レオンハルトさまの家って、どんな感じなのかしら?

 聞いてみたい気もするし、楽しみにとっておきたい気もする。

「エリカお嬢さま、本当に楽しみなんですね」
「え?」
「顔に出ていましたよ、フォルクヴァルツが楽しみって」

 くすくすと楽しそうに笑うメイドたちに、私は両手で顔を隠した。