カフェで充分休んだ後は由比ヶ浜に行き、潮の香りに砂浜の感触、全てを満喫して帰路に着く。

夕飯は何が食べたいか聞くと、ファミレスでいいと言う。俺としてはホテルのディナーくらい考えていたのに、由亜からは回転寿司にラーメンに牛丼でも構わないと回答が帰って来る。

「せっかくのデートなんだから、もっと贅沢するべきだ。俺の知り合いの所で良ければそこに連れて行く。」

「これって…やっぱりデート…なんですね。」

「今更だが…なんだと思ってたんだ?」

「慰安旅行的な…?」

「あり得ないな。由亜を好きだと言ってる男が連れ出してるんだから、デートに決まってるだろ。」
やはり由亜には遠回しの言い方は通じない。はっきりストレートに言う事を心がけなければと思う。

例え今は脈無しでも…いつかきっと振り向かせると、願いを込めて。
ストレートに気持ちを口にする事なんて今まで無かった俺が、由亜に対してだけは、平気と心が素直に開く。

「なんで…そういう恥ずかしい事…普通に言ってくるんですか?」
真っ赤な顔で抗議されるが、少しは脈があるのだろうか…。

「由亜にはオブラートに包んでも伝わらないからだ。」
俺のお前が好きな気持ちは歴が長いんだ。そこら辺の浅い好きとは格が違うんと訴えたいところだ。

ついでに言えば、エレベーターボーイの純も、真那斗もお前に恋心を抱いている事に、気付いていないのだろうか…。

多分気付いちゃいないだろうな…。

これに関しては疎くて良かったと思っているが、俺の気持ちが本物だと言う事くらいは気付いて欲しい。

結局、行きつけのイタリアレストランで夕食を堪能し、最後は湾岸線に乗り夜のドライブを楽しんで、由亜の住むアパートへと送る。