カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされ、私はゆっくりと瞼を開く。

「夢か……」

鮮明に映し出された過去の記憶が頭に残り、私はしばらくそのまま天井を見続けた。



久しぶりに見たあの時の夢。

岡田君が引っ越す時の夢。

別れ際に“さよなら”を言えなかった時の夢。


もう何年も見ていなかったのに、なんで今になって出てきたのだろう。


あまり思い出したくない記憶なのに……。


私は目覚めて早々深いため息をつき、重々しく体を起こした。


隣に置いてある目覚まし時計に目を向けると、アラーム設定時刻より三十分も早い起床。


二度寝をしようと試みたが、妙に頭が冴えてしまい、私は諦めてベットから起き上がることにした。