「いやいや、私ゲームなんてしたことないからっ!」


思いっきり首を横に振って拒否するも、有無を言わさずもう一つのコントローラーを手渡され、ゲームを起動して二人プレイに設定する俊君。


あの、私に拒否権はなしですか。


もう後には引けない状況に、私は仕方なくコントローラーを握る。

本当にゲームというゲームを全くやったことがない為、どれがどのボタンなのか全然分からない。


冷や汗が垂れる中一人固まっていると、突然肩がくっつく程の距離を縮めてきた俊君に、私の心は素直に反応してしまう。

「この十字キーで移動するんだよ。それで攻撃は赤のボタンで、防御が青な。それから……」


……だめだ。

全くもってさっぱりです。


私は眉間にシワを寄せながら、俊君の説明を唸りながら聞く。

「とりあえず、実践あるのみだな。最初は練習モードでやるから大丈夫」

何が大丈夫なのかはよく分からないけど、とにかく距離が近いです。

先程から俊君の息遣いを間近で感じているせいで、説明が全く頭にはいってこないまま、半強制的にゲームが始まる。