「あの……それは誉め言葉ですか?」

おそらくそうなんだと思うけど、“自分を出しきれていないという”言葉に敏感に反応してしまった私は、つい捻くれた質問をしてしまう。

「もちろん。とにかく、お洒落のことならいつでも聞いて。一応知識と技術はある程度備わってるから」

けど、全く気にもしていないどころか、心なしか海斗さんの瞳がとても輝いて見えるのは気のせいだろうか。


スタイリストを目指してる人にとって、私みたいなのはやりがいがあるのかもしれない。


でも、磨けば光るとは言っても、その原石にも限界があるような……。


それよりも、その癖をなんとかした方がいいと思う。

危うく呼吸困難になりかけそうだった。


おそらく、それで勘違いする子は沢山いる気がするけど、海斗さんにはその自覚がないのだろうか。

私は未だ治まらない鼓動を落ち着かせながら、色々思うところはあるけど、とりあえず彼の言う事に素直に頷く。