「……いいなあっと思って」


「へ?」


……何がですか?


この大きな黒縁メガネがですか?



突然何を言い出すのか。

心当たりがあるとしたらこれぐらいしか思い浮かばず、益々理解不能な彼の挙動に私は首を傾げる。

「加代ちゃんだよ。凄く魅力的だよね」


……はいっ!!?


私の耳はついに幻聴を聞くようになってしまったのだろうか。

それとも海斗さんの視力がすこぶる悪いのか。

確かに聞こえた“魅力的”という言葉に、体が固まった。

今まで男性からは一度も言われたことがない上、私自身も魅力なんて全く縁がないものと思っていたのに。


もしかして、からかってますか!?


そう反論しようとしたけど、冗談ではなさそうな真剣な海斗さんの眼差しに、喉まで出かかった言葉を引っ込める。